『50の脳内再構築』

「人は外面によって自分が形成されていくというのが絶対にあると思う。
例えば見た目がパッとしない人でもいい洋服を買って着てみると
周りの人の見る目が変わるでしょう。するとその人も明るい気持ちになれる」

ハウルの動く城』インタビューにて鈴木敏夫氏が語った言葉。
内面ではなく外面からも人格が形成されるという
鈴木氏のこの言葉は今も深く私の胸に残っている。


憧れの職業になりたい、ヒーロー、ヒロインになりたい。
子供の頃から誰でも多少は変身願望というものがある。
だが実際に夢を叶えた者など一握りだろう。
大多数の人間は夢を持ったまま、夢を忘れ生きている。


人間そうそう容姿が変わる訳ない。中身も然り。
でも外面なら変化できる。
『コスプレ』なら自分も変わるし世界も変える事ができる。


趣味の多様化、時代の流れか頻繁にコスプレしている人を見るようになった。
以前コスプレ少女の1日を追ったドキュメント番組を見た事がある。
その少女は平日は地味にアルバイトをしてるが、
休日になるとゴスロリの格好をして公園内で
仲間と衣装の見せ合いをして楽しんでいた。


アルバイトの時とは表情までまるで別人だった。
彼女はコスプレという道具で華麗に変身を遂げた。


“馬子にも衣装”ということわざがあるように
人は衣装で変身するし、衣装そのものにも人格がある。
学生服、チャイナドレス辺りは万国共通の美であろう。
ネコ耳、肉球、眼鏡ッ子&三つ編みは日本のわび・さびと言った所か。



さて。先週ダブルユー写真集『50W』が発売された。
ωとしては初めての写真集であり、
内容はお二人が50種類の衣装に着替えているというもの。
衣装はチャイナドレス、パティシエ、猫耳、ウエイトレス、乗馬服、
パンクルック、制服、魔女ッ子、アルプス、着物、ゴスロリetcと実に多彩。


あいののがコスプレをすればどうなるかなんて
あいぼむの“ナコルル”の時から判っていた事だったけど、
やはり圧倒的だった。


変身ではなく完全に衣装を支配してる二人。
これまでの固定概念を次々と覆していく。
魔女ッ子(キキ)といえばあいのの。
サラリーマン(金太郎)といえばあいのの。
ゴスロリなどは名将の深キョンが装着した時すら何も感じなかったが、
あいののが身に纏う姿を見て初めてゴスロリの深さを教わった。


この『50W』。今までに二人が出したソロ写真集と比べると
写真集という観点において芸術的には浅いと思われる。
カメラマンは二人の内面的な魅力を引き出そうとせずに
ただシャッターを切ってるだけ。全て二人任せ。
それでもあいのののパフォーマンスは奇跡の一言に尽きる。
コスプレを超えた真のコスプレがそこにある。