『こちら本池上署スタート!!』

笹岡隆平(華道未生流笹岡・次期家元)氏は語っていた。
「ベルサイユ宮殿の庭園は木を四角に加工したものなどあるが、
日本の場合は自然の形のまま残している事が多い。
それは生け花の世界でも同じである」
と。


生け花とフラワーアレンジメントの違いが判らなかったので調べてみると、
大まかには“起源(西洋と日本)”と“使う花の量が違う”とのこと。
生け花の方は少ない花材で空間を上手く利用して
花を存在感のあるものに仕上げてるそうだ。なるほど。


庭園も花も然り、日本料理、建築まで古来日本の様式美というのは
自然が持つ素材本来の良さを最大限に生かす所にあるのだろう。
対する諸外国の根本は装飾。
ペリー来航の際、江戸幕府は全国から最高級の素材を集め調理し
この上ない迎賓だったが、うす塩(味)ベースのその料理は
彼らに「貧しい料理」としか受け取られなかった。
米国の方はといえば船に持ちこんでいた家畜や
ソースを使って手の込んだ料理でもてなし、
日本人はその摩訶不思議な料理を喜んで食したという。
今の時代にも通じるエピソードである。



今週からまた『こちら本池上署』が帰ってきた。
第5シリーズとなる今回も事件を通して人情に重点を置いた
作りになっているようだ。
椎名由美こと我等が加護亜依さんも勿論出演している。
キッカケはプロデューサーからのご指名の参加だった。
最初は一服の清涼剤、事件解決のヒントを
導くといったマスコット色が強かったが、
前回の最終回には主役級の大活躍を見せたほど重宝されている。


ハロプロという変化の激しい波に飲まれていると、
時に己の感覚が麻痺してしまう。
数ヶ月前の出来事が何年にも感じるし価値観が判らなくなる。
そのズレをいつも『こち池』は直してくれた。
ドラマとはいえ現実と同じ時間軸で進行し、
加護さんは由美役を等身大で演じている。
それは演技を越えてもう一人の加護亜依として
超然としてそこにいるのだ。
喜怒哀楽が目まぐるしく変化する環境の中で、
『こち池』だけは変わらぬ安心感を持っている。


事件ではなく人情を重んじるストーリー。
加護さんには自由(アドリブ)を任せ、
台本よりも本人の魅力を優先し引き出そうとするその姿勢。
どうやら冒頭の日本の様式美は『こち池』にも当てはまるようだ。
派手な演出もないし、出演時間も短いけど、
私には『こち池』はどの番組よりも大切かもしれない。
そして加護亜依さんにとっても。