SHALL WE HELLO-DANCE? -2STEP-

前回までの内容


HIPHOP
rap、break dance、graffiti、DJ、からなる音楽ジャンル。
ブロンクス生まれのアートフォーム。パーティ・ミュージックから始まって
現在では様々な方向に分化・深化してる…らしいHIPHOP。


KICK THE CAN CREWHIPHOP)やRIP SLYM(HIPHOP)等
興味を持ったことすら無いがとにかく
このDANCEジャンルのレッスンを受けることにした。
『入門編』と書かれていたこのダンスレッスンで
まずは己の実力を確認するのだ。


そしてレッスン当日。
ダンスシューズとスポーツウェアとタオルとドリンクを入れたカバンを背負い
スタジオの扉を開けると「おはよーございます」と受付の女の子の声。
夜(21:00)でも「おはよう」とは業界人っぽくて少し嬉しい気持ちになる。
スタジオの練習風景を覗くとエゲツない動きをしてる集団がいて、
待合室でもあーだこーだと言い合いながら華麗にステップを刻む若者達がいる。
ダンス教室なんだから当たり前の光景だけど妙に緊張してしまう。
威風堂々を装いながら小走りで着替え室へと向かい、
レッスン開始の時間を祈るように待った。
心が折れそうな時や、全てを投げ出したくなった時には
携帯のあいのの画像見て気持ちを落ち着かせるようにしていた。
が、この時は全く効果がなかったので最終手段を使う。





この画像を見ると一気にアドレナリンが爆発してとてつもなく前向きになる。
ある意味SOMAさまさまだ。
気持ちを高めてそのままステジオへと乗り込む。
俺はおまえらとは背負ってるものが違う!不幸の数がっ!重みが違うのだっ!


スタジオ内。
15メートルくらいの広さで前面鏡張り、横には音響セットと
TVでよく見かける風景そのままのスタジオには
私以外に三人の男がいた。


1人は35歳前後でやせ型、前髪がやや砂漠化(ハゲ)してるおっさん。
YOUは何故ここにいるの?と自分を棚に上げて問いたくなる人物だ。
もう一人は18歳前後で長髪、帽子を被ったイケメン。山Pに似てる。
最後は今回ダンスを教えてくれるハッシー先生。
年配な感じだがプロダンサーだけあって雰囲気はビシビシ伝わってくる。
受講時間が遅いのか、それとも初心者向けだからか、
思った以上の人数の少なさに面食らったがいよいよレッスンがスタートした。
「今日は初めての子もいるけど基本をベースにしっかり行こう!」と先生。


最初の10分間はストレッチ。
腕を伸ばしたり腰をひねったりと馴染みのある動きが多くついていけた。
中でも座って開脚した状態で肘が床につくのは私だけだったので
調子に乗ってフフフン!と効果音もつけてみた。
片足で立った状態でもう一方の足を後ろに回し両手を広げて
両目を瞑った状態で何秒立ってられるかバランスの測定というのもあった。
目安としては30-40才30秒、20-30才60秒で体の芯を意識するのが
ポイントだという。


ストレッチを終えていよいよ本格レッスンの開始。
まずは「アップ!ダウン!」のリズムに合わせて膝の屈伸。これは楽勝。
次は手を腰に当てた状態でアップダウンに合わせて腰を前後に振る。
その時ダウンは胸を萎縮させアップを胸と肩を張るようにする。
これが簡単のようでいて、なかなかキレのある動きにならない。
この後はアップダウンのリズムを取りながら手を前後に振ったり、
そのまま歩いたり(ランニングマン)するダンスを教わったが、
どれも体を前後に収縮する最初の動きが基本になっていた。


ハッシー先生曰く「この動きはHIPHOPだけでなくダンス全てにおいて
重要だから是非マスターして欲しい☆カナ」ということ。
ちなみにこの動きをシャイニング(ハゲおっさん)はマスターしており、
山B(山Pもどき)に至ってはマスターどころか、
全然違う高度なダンスを踊っていた。一体何故ここにいるのかと小一時間。


よく見ると首にタオルかけてるのは私一人だけで
他は水分補給すらしていない。(ボクは先生の目を盗み一回飲みました!)
先生も「次は16ビートにあげてエンドカウントから右入るよー」とか
入門者に投げかけてるとは思えない言葉の数々。


ハロの戦場を数百回と駆け抜け、娘。楽宴時代にはダンスの
対戦相手を募集し実際に対戦したオレサマが
この修羅の国では入門者にも勝てないという恐ろしい現実を知った。


2時間に及ぶ地獄のレッスン終了後、半死状態の私に先生が近寄ってくる。
「どうでした?まぁ最初は基礎から入って
これから組み合わせ覚えていってもらいます。」


「基礎で一杯一杯っすっ!!」 と心の底から答えた。


「初めてにしてはかなり踊れてましたよ。無理な人はずっと踊れませんし。
何回かやればすぐに慣れますよ」


「初めてじゃねぇーよ!俺はハロの戦場で鍛え抜かれたソルジャーだっつーの!」
なんて事は、醜態を晒した後で言えるはずもなく素直にてへてへ喜んだ。



こうして初めてのダンスレッスンは終了した。
正直ここまでむごい結果になるとは思ってなかったが逆に闘志に火がついた。
最下級からのスタート。ドン底から這い上がるしかないのだからある意味楽だ。
何はともかくあの基本の動きをマスターしなくてはいけない。
腰を前後に振り、肩を入れて広げて、アップダウン…。
手は腰に添えるだけ。極めるゼ!庶民ムーブッ!!