セレブな盆休みの過ごし方(豪華二本立てダヨ!)


辻夫妻の幸せ一杯の食卓風景。
相変わらず祝福は出来ない。でも批判はむなしいし悲しい。
ならばせめてと辻夫妻を見習ってネギの再生能力を生かした
節約生活とやらをマネすることにした。
マネする事によって辻さんと少しでも気持ちを共有したかった。




活きのいい厳選された万能ネギと六甲のおいしすぎる水を用意し、
ベランダの日当たりのよい場所にセッティング。これ以上ない環境。
万能薬ができちゃうくらいの期待感を持ちながらネギの成長を待った。




         《一週間後》





青々としていた緑は精彩を欠き、先端にいたっては茶色に変色している。
六甲のなにがし水は異臭を放ち…腐ってやがる!


ネギ。一週間は見たくもないよ。ネギ。





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久しぶりにレンタルショップに出掛けた。
お目当ては『バックダンサーズ!』。
まず純粋にダンスが観たいというのがあったし、
後は主役に見捨てられた子達が団結して云々、
中には子持ちで訳ありとかいう設定に興味があった。


店内でDVDを探すがあいにく貸し出し中だった。
辺りをよく見るとお盆休みで皆暇なのかほとんどのDVDがレンタル中だった。


このまま帰るのも味気ないので、
仕方なく私は店内の奥へと足を踏み入れた。
その場所は女子供は入れないまさに男の中の男の空間。
でも棚に陳列されているのは女性ばかりという素敵空間。
数年ぶりに訪れたそのジャングルの風景に私の知的好奇心は高まった。


気になった女性のDVDを手に取り裏面を確認する。
裏に描かれた容姿と物語こそがその作品の全てといってもいい。
表のビジュアルは只のフェイクに過ぎないのだ。


丹念に鑑定していった結果、気がつけば二桁を越える
作品の山を私は両手に抱えていた。
全てを調査し終えた私はゆっくりとした足取りでレジへと向かう。
ここで慌ててDVDを落とす事は決して許されない。
堂々と、胸を張りながらカウンターにDVDの山を置いた。


レジを務める店員は25歳くらいの細身な男性だった。
「ありがとうございまーす」と私が持ってきた作品の山を見ても動じずに
次々とDVDのバーコードを読み取る作業をこなしていく。
しかし6、7本目あたりであろうか「ん?」と突然作業を止めて、
手に持ってたDVDを私に見せながら質問してきた。


「お客様。この作品は以前にも借りたことがあるようですがどうしましょう?」


DVDに女の子が印刷されている部分を見せて「この子ですよ」と
わざわざ丁寧に教えてくれた店員。後ろに人並んでるのに。わざわざ。


  「ヴォケ!!その子誰だかわかってんのか!! 天下の吉沢明歩だよ!!
 胡散臭いやつチョイスするくらいならアッキー何度でも借りるっつーの!!」


などとは口が裂けても言えず「はい、いいです。借ります」とだけ呟いた。
その後も続く吉沢明歩集に店員はこちらを
チラ見するがもう何も聞いてはこなかった。
画面の向こうではきっと『以前にレンタルされています』
の文字が続いてたんだろう。
私は爽やかに明歩と他数名を受け取り店を後にした。