握手ベクトル〜後編〜
一歩、また一歩とステージへと近づいていく。
愛理に掛ける言葉を心の中で復唱した。
階段前へ辿り着くと女性にイベント券を手渡し男に手のひらを見せる。
「さぁ、いよいよだ!」と気構える間もなく
手のひらを見せた後、数歩の距離でイキナリ梅田さんが目に前にいた。
綺麗な子だと思ってたけど第一印象は“可愛い”だった。
印象とのギャップに若干ひるんだけど梅さんに
「ありがとうございました!」ときちんとお礼を言った。
愛理以外にはこの単純にして奥深い言葉でいこうと
決めていたが見事成功!俺はやれば出来る子。男の子。
次は矢島さん。
綺麗だとは思ってたけどまんま綺麗。ちょ→綺麗。
その容姿とは裏腹に前のめりで握手してくる矢島さん。
西濃運輸倉庫の商品仕分けを連想させるほどその豪胆な立ち振る舞いに、
驚いたがなんとか握手できた。「ありがとうございました!」。
次はなかさきちゃん。
ダンスの話やアッカンベーをやって欲しいとか、
この子にはいろいろ話したい事があったけど次に控えてるのが
愛理の為に何も意識しないまま握手してしまった。
「ありがとうございました!」。
そして遂に愛理とのご対面!
もう迷わない!!逃げない!!
溢れんばかりのこの想いを伝えたおしてやるっ(Z)!!
私の前に愛理がいる。
二人を隔てるものは何もない二人だけの空間。
満面の笑みで私を出迎えてくれる愛理。
その純粋な笑顔が私の緊張を和らげてくれた。
私も伝えなきゃ!他の子とは違う愛理だけに伝えたい最高の言葉を!
思わず口走ってしまったまさかの定番お礼。
しかもこの日一番の小さな声で言っちまった。
焦りつつも言葉を探して続けようとする私。不思議な表情の愛理。
そして気が付けば最終の有原氏の前から
半分フェイドアウトした場所に立っていた。
恐らく頭が真っ白になっている所をスタッフに突き飛ばされたのだろう。
こうして愛理との初握手は終了した。
ありふれた言葉だったけど愛理に声をかけることが
出来た事だけで私の心は青天のように澄み切っていた。
このまま第2回(夜公演)にも参加した。
夜は最高、りーがる、tubさんと合流。
「愛理の顔がねっ!こんななの!こんななの!(手で小ささを表現)もうっ!」
などと社会的な話題で議論を交わした後、
握手イベントのノウハウについていろいろと伝授してもらった。
夜は10列以内センターと絶好のポジション。
更にりーがると座席番号が2つ違いという事で隣の人と席を替わってもらう。
前の座席にはピンク色のTシャツ(矢島さん色)を着た集団がいたので
りーがるは着ないのかと訊ねると、
「俺の場合は向こうが探すからあんなの着る訳ねぇwwww」と
完全に上から目線の言葉が返ってきた。
いつも控え目なりーがる氏が℃-uteに関してはまるで別人。
更には自分の為に「俺が先に行って愛理の後の岡井ちゃんで粘ってあげるよ」と
震えるような発言までしてくれた。
りーがるのビックマウスっぷりに亀田一家並の危機感を感じたが
とりあえず彼を信じることにした。
2度目の握手。
今度こそきっちりと自分の気持ちを伝えなきゃいけない。
残念だけど愛理以外の子に意識を乱されたくなかったので、
今度は怯えた子犬のようになるべく相手の顔を見ないようにした。
矢島さんとか直視はちょ→ヤバイ。
「ありがとうございました!」と感謝の気持ちは忘れずに握手していった。
そして愛理…。
私の前に愛理がいる。
二人を隔てるものは何もない二人だけの空間。(2回目)
まさかの定型文の天丼。これには自分の中の人もビックリ。
これも運命かと半ば諦めかけたが前を見ると
りーがると岡井少年がまだ喋ってるっ!!
チャチャチャチャチャチャーンスッ!!
彼女のお陰でどれだけ救われたか言ってやるんだっ!!一撃入魂!!
今こそ解き放て俺の中のしゅごキャラ!心の中をアンロック!!
………っ!?
(一瞬目を大きく見開き驚きの表情を見せる愛理)
ありがとうございますっ!!
(眩しいほどの笑顔を見せる天使)
こうして2度に渡る握手は無事終了。
握手を終えるとまずりーがるを抱きしめ愛しました。
今でも握手はいらないと即答できるけど、
直接会って言葉を伝える魅力ってのも身を持って感じましたよ。
次の日曜は遂に念願の通学ベクトルを観て来ます!!VIVAベクトル!!
------------------------余談-------------------------------
このイベントの内容をピスさんに報告したら
「えぇーーっ!!愛理に言ったセリフまんま俺のパクリじゃん!」と
半分マジで批判されました。
亜依国精神を見直しました。
「加護ちゃんのおかげで今人生が凄い楽しい!!」。
あらヤダ。ほとんどまんま。
ホントに最初から愛理に言おうと決めてたのは
「愛理のお陰で毎日が俺のターン!」だったんだけど、
「俺のターン」って言っても多分通じないと思って
とっさに変えたんですよ。で、ピスと同じになってしまったと。
ピスの5年間(当時)の想いが詰まった会心の一撃と
愛理がパクリになってしまったのは申し訳ないやら恥ずかしい
気持ちで一杯だけど感謝の言葉が他に思い浮かばなかったんです。
でも感謝の言葉とか一言で表現すれば限られてるじゃないですか。
例えば砂漠の真ん中を手ぶらで歩いてました。
はい当然ばったり倒れました。
飢えと渇きで死にそうな所をふと空を見上げると
慈愛に満ちた女性が「これどうぞ♪」と水をくれました。
はいこの女性に対してかける言葉は何ですか?って話ですよ。
そう!「ありがとう!」もしくは「how much?」じゃないっすか!
少なくともパクるつもりは微塵も無かったと
相棒には再度お伝えしておきます。